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大阪地方裁判所 昭和42年(わ)762号 判決 1978年12月25日

本籍

奈良県高市郡明日香村大字豊浦五四番地

住居

大阪市北区西天満四丁目二番一号

金融業、不動産業

嶋本利彦

大正一四年一〇月六日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき当裁判所は検察官藤村輝子出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役八月および罰金二、五〇〇万円に処する。

右罰金を完納できないときは金五万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大阪市阿倍野区阿倍野筋七町目七一番地において貸金業並びに不動産売買業を営なんでいたものであるが、所得税を免れようと企て、

第一、昭和三八年度における所得金額は五八、二〇〇、二八〇円、これに対する所得税額は三四、五〇五、六九〇円であるにも拘わらず、貸金利息、不動産売上収益等を除外する不正行為により、右所得金額中五六、九二一、二八〇円を秘匿した上、昭和三九年三月一六日、大阪市阿部野区阿部野税務署において、同署長に対し所得金額が一、二七九、〇〇〇円、これに対する所得税額が一九〇、一七〇円である旨、過少に虚偽記載した同年度の所得税確定申告書を提出し、よって同年度分の所得税三四、三一五、五二〇円を免れ

第二、昭和三九年度における所得金額は二〇、三二一、七三六円、これに対する所得税額は九、七二一、七二〇円であるにも拘わらず、前同様の不正行為により、右所得金額中一八、八五四、七三六円を秘匿した上、昭和四〇年三月一五日、前記阿部野税務署において、同署長に対し、所得金額が一、四六七、〇〇〇円、これに対する所得税額が二四〇、〇五〇円である旨、過少に虚偽記載した同年度の所得税確定申告書を提出し、よって同年度分の所得税九、四八一、六七〇円を免れ

第三、昭和四〇年度における所得金額は四七、一〇六、六四二円、これに対する所得税額は二六、七七八、五七〇円であるにも拘わらず、前同様の不正行為により、右所得金額中四六、六七四、六四二円を秘匿した上、昭和四一年三月一五日、前記阿部野税務署において、同署長に対し、所得金額が四三二、〇〇〇円、これに対する所得税額が三三、四五〇円である旨、過少に虚偽記載した同年度の所得税確定申告書を提出し、よって同年度分の所得税二六、七四五、一二〇円を免れ

たものである。

(証拠の目標)

判示全部につき

一、被告人の検査官に対する各供述調書

一、被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、三木政規作成調査書(記二一九の二、第二回検察官請求証拠目録記載請求番号1)

一、前田善蔵作成確認書抄本(同証拠目録記載請求番号3)

一、水越修作成の各調査書(昭和五三年二月一七日付検査官証拠取調申請書記載番号1、6、9、11)

一、三木政規作成調査書(同2)

一、水越修他一名作成各調査書(同3、4、5、7、8、10、12、但し7の作成年月日は二月二六日の、標目は東天下茶屋の誤りである。

一、証人水越修、同田中司の当公判廷における各供述

一、第一二、一三、三七回公判調書中の証人三木政規の供述部分

一、吉仲三太郎、嶋章、綿野潔、荒木大一郎、塩見明、椎尾逸雄作成の各確認書

一、淀野正一の大蔵事務官に対する供述調書および質問てん末書

一、田口好夫、小磯正夫、水戸与惣吉の大蔵事務官に対する各供述調書

一、三谷徹男の大蔵事務官に対する供述書

一、筒井秋子、原田忠亮、前田汎平、丸井甚助、赤松義則、森田進(昭和四一年一一月一日付)、森貞子の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、不渡手形一六通(検察官請求証拠目録(乙)請求番号9ないし24)

一、第一四回公判調書中の証人前田善蔵の供述部分

一、第三六回公判調書中の証人綿野潔の供述部分

一、第二七回公判調書中の証人水戸与惣吉の供述部分

一、第一八回公判調書中の証人岡島米蔵の供述部分

一、第三三回公判調書中の証人飯田マスエの供述部分

一、第四八回公判調書中の証人川島靖の供述部分

判示第一につき

一、阿部野税務署長作成所得税の確定申告書証明書昭和三八年分と題する書面

一、堀江梅一、矢埜義一、平尾允、伊藤輝好作成の各確認書

一、大島常男作成の回答書

一、辻川保夫、菊本茂雄、岡野信勝、平田信太郎、西田稔、谷江潔作成の各供述書

一、尾北平太郎、上野義夫、今橋アサ子、田辺幸民、青木俊介こと鄭沢萬、森田進(昭和四一年一〇月二四日付)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、第三九、四六、五〇回公判調書中の証人川島靖の各供述部分

一、第一九回公判調書中の証人西村止才之亮の供述部分

一、第二三回公判調書中の証人田村岩五郎の供述部分

一、第二二回公判調書中の証人五島深諦の供述部分

一、錦城奉三作成昭和三八年一一月二五日付確約書および豊川八郎作成同年九月二七日付念書

一、押収してある念書および附属書類(昭和四四年押第一五八号の二〇)

判示第一、第二につき

一、材田健次、北向実、富永輝雄こと夫天水、久保政博(代理久保初子)作成の確認書

一、小野武一作成の回答書

一、樋上正一、宮崎勇、小島政門、中島昌一郎の大蔵事務官に対する各供述書ないし供述調書

一、新川菊義、市川昇、川原八郎、辻岡清一、大宮彰、中村一雄の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、西田稔、佐々木善次郎(二通)、長井幸治、隅田正子、小山芳雄こと姜大奎の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、三木政規作成銀行調査書類綴(記二一八の二、第二回検察官請求証拠目録記載請求番号2)

一、第一四回公判調書中の証人川又頼政の供述部分

一、第二〇回公判調書中の証人和田吉郎の供述部分

一、押収してある金銭出納帳二册(同号の一)

判示第二につき

一、阿部野税務暑長作成所得税の確定申告書証明書昭和三九年分と題する書面

一、森脇忠良、竹中八郎、樫山貞子作成の各確認書

一、西田はるみ、富土幸男、有年成晃作成の各供述書

一、山畑房太郎の大蔵事務官に対する供述調書

一、北村初美の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、押収してある支払済小切手及び手形一綴(同号の二)、手形発行控一綴(同号の三)、不動産売買契約証書一通(同号の四)、銀行勘定及び金銭出納帳一册(同号の五)、補助簿一册(同号の六)、契約書一枚(同号の七)、元帳一册(同号の八)、鈴蘭台電気工事書類一枚(同号の一五)、鈴蘭台センター記録帳一綴(同号の一六)、大学ノート一册(同号の一七)、不動産売買契約書及び領収書一綴(同号の一八)、メモ四綴(同号の一九)

判示第二、第三につき

一、神野友明、山川静夫、若林敬蔵、清水勇、小野吉男の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、第二四回公判調書中の証人神野友明の供述部分

一、第二五回公判調書中の証人荒井澄雄の供述部分

一、第二六回公判調書中の証人清水勇の供述部分

一、第四二回公判調書中の証人川島靖の供述部分

一、押収してある元帳一册(同号の九)

判示第三につき

一、阿倍野税務署長作成所得税の確定申告書証明書昭和四〇年分と題する書面

一、小山隆平、嶋本茂、竹中みよ、高橋利一、橋岡正、左海勝、長野満、平岡春枝、川口義昭、市野忠雄、大西かほる、若林春子、阪口國勝、藤本茂、津崎健治、伊達勘治、前川総一、奥関健三、山村美代子、下浦勲、高木善蔵、太田亀野、衣奈邦夫、朝野勲、上川浩司、増本源一、枝川健治、永田健太郎、中川一、右近信一、若林睦、伊藤孝之、原ひさ子、中野汪子、大田政次、日本電子サービス株式会社、國分和子(代理石田徳雄)、神野善造、入江みつ子作成の各確認書

一、香山圭次、横山光男作成の各供述書

一、田村清太郎作成の明細書と題する書面

一、森田進の昭和四一年九月五日付大蔵事務官に対する質問てん末書

一、松葉行男の検察官に対する昭和四二年八月二三日付供述調書

一、第二八回公判調書中の証人高橋利一、同橋岡正の各供述部分

一、第二九回公判調書中の証人川口義昭、同若林春子の各供述部分

一、第三〇回公判調書中の証人衣奈邦夫の供述部分

一、押収してある不動産契約書一綴(同号の一〇)、土地売買契約書写一枚(同号の一一)、不動産売買契約証書写一枚(同号の一二)、山田土地関係書類一綴(同号の一三)、鈴蘭台関係書類一綴(同号の一四)

判示第一、第三につき

一、中川弘の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、第四四回公判調書中の証人川島靖の供述部分

ちなみに、本件の税額計算書、検察官の主張と異なる貸金利息の分についての一覧表および利息の計算上複雑なものについての内訳はいずれも別紙のとおりである。

(法令の適用)

罰条

判示第一、第二につき

昭和二二年三月三一日法律第二七号所得税法六九条一項、二項(懲役刑と罰金刑とを併科する)

判示第三につき

昭和四〇年三月三一日法律第三三号所得税法二三八条一項、二項(懲役刑と罰金刑とを併科する)

併合罪加重につき

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(懲役刑につき判示第三の罪の刑に法定の加重)

刑法四五条前段、四八条二項(罰金刑につき)

懲役刑の執行猶予につき

刑法二五条一項

労役場留置につき

刑法一八条

訴訟費用の負担につき

刑事訴訟法一八一条一項本文

(裁判官 池田良兼)

税額計算書

<省略>

貸金利息一覧表

38年

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39年

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40年

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貸付先 川原建設株式会社 川原八郎

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貸付先 高松雅文

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貸付先 木下のぶ子

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貸付先 飯田幸一

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貸付先 綿野潔

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貸付先 丸井甚助

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